高熱に苦しむ

 火曜日（２０１０年２月９日）に抗がん剤治療をしていただいたのだが、その日の夜から３９度台の熱が出始めた。水曜、木曜と苦しんだが、解熱剤を服用したこともあって、昨日（金曜日）はすっかり回復（と自分では思っていた）、昼間はがんのサポートグループ、夜は元勤めていた会社の新年会でイタリアン・カラオケと元気に過ごせたのだけれど、帰宅してからどうにも様子がおかしくなってきた。
悪寒がひどく、着込めるだけ着込み、湯たんぽを入れて布団にもぐっているのに、ガタガタと震えがとまらない。さ、寒～い。体の奥底から冷えが上がってくる感じで、寒くてたまらない。
顔まですっぽり布団に入れエビのように丸まって、何時間悪寒に苦しんだんだろ？
さっさと熱が出てくれれば暖かくなるのに、白血球が少ないせいなのか、私の体はパアーッと高熱を出す力もないらしく、結局明け方までガタガタ震えていた。
そして今日（土曜日）は終日３８度前後の熱があり、何だか気持ちも悪いし、さえない一日になってしまった。
外にも出られないので、ベッドに体育座りをして（私がテレビを見るときの定位置）バンクーバーオリンピックの開会式など見ていると、おととし（２００８年）の北京オリンピックの閉会式を一人で見ていたときのことを思い出してしまった。
膵臓がんの診断が出た直後のことだ。
今思えば、あの頃はがんと暮らすということについて何もわかっていなかった。
ただ、自分は大変な病気になってしまったらしい、ということしかわからなくて、ぼんやりとテレビを眺めていたような気がする。自分にとって「北京オリンピックが最後のオリンピックになるんだなあ、次のロンドンはないんだなあ」と思いながら。（こんな風に書くとなんかちょっと選手っぽい♪）
冬のオリンピックの存在はまるで思いつかなかったけれど、それを知っていたとしても、やっぱり「北京が最後」と思っていただろう。
そんなことを娘につらつらと話していたら、「そんなこと言ってて、ロンドンオリンピックの時も今とおんなじ体育座りでテレビ見てたらまじ受けるよね～」と笑われた。
こんな時「そんなこと言わずに、ロンドンまでがんばりなよ！」なんて言わないところが、うちの娘のいいところ。
私も「テレビで観戦どころか、出場してたりしてね（いったい何の種目で！？）」と返す。
「あー、そしたらロンドンまで応援に行ってあげる」「うんうん、来て来て」・・・他の人が聞いたらばかばかしくて呆れてしまうような会話だろうけれど、私にとっては貴重な日々の一こまだ。
本当にロンドンオリンピックが始まった時、娘はもうそこにはいない私とこんな会話をかわした日があったことを思い出してくれるだろうか。
そしてこの先オリンピックがあるたびに、体育座りでテレビを見ていた私が確かにいたことを思い出してくれるだろうか。
まあ、思い出してくれなくてもいいや・・・その時の彼女が幸せであるならば♪