おととい(2010年3月5日)の夜、2泊3日の沖縄旅行から帰ってきました。
前日までだるいだるい、と騒いでいたくせに、またまた突然元気になってしまった私・・・なんだかもう自分でもよくわかりません(笑)
皆さん、いつも心配していただいてありがとうございます。
那覇に着き、「小さい船に乗って2000円・40分程度で那覇港をさらっとサンセットクルーズ」するはずが、娘に予約電話をしてもらったところ上手く伝わらなかったらしく(もちろん日本語なのだが)、気がつくとなぜか「レストランシップでフルコースディナーを食べながら、2時間のクルーズ」になっていた!
こんな贅沢しちゃって大丈夫かなと思いながらも、夕日を見ながらゆっくりと過ごせて、思いがけなく素敵な経験ができた。
思いっきり自費だけど(当たり前)、神様からのプレゼントと思うことにしよう。
新婚旅行や定年退職等記念日の方がたくさん乗っていて、船全体でお祝いしながら食事をする。
旅行に行きいろいろな人を見るたび思うことだが、人の数だけ違う人生があり、皆それぞれの「記念日」を刻みながら一日一日を生きている。
またたくさんの「幸せ」に出会うことができ、私もおすそわけをもらうことができた。
旅行に行くと元気になれるのは、そんなところにも原因があるのかも知れない。
二日目はオプショナルツアーに参加し、「美ら海水族館」や「琉球村」等を10時間かけて回る観光バスに乗った。
ガイドさんが添乗しているのだが(Tさんというおそらく20代後半か30代前半の女性)、話し方がわりにクールでしっかりしているので、ベテランのガイドさんなのかな~と思い、最初は特に気にしていなかった。
沖縄の方言であいさつしたり、車窓から見える物を解説したり、それにちなんだクイズをしたり、まあいかにもバスガイドさんらしいことをしてくれていたのだが、私はどちらかというとそういうことに参加するよりぼんやり景色を見ていたいタイプで、申し訳ないとは思ったがさらっと聞き流していた。
加えて22人のバスの乗客の半分以上が10代・20代の若い人だったこともあって、彼女が何を話しても初めはあまり盛り上がっていなかったのだが・・・時間が経つにつれ、彼女がまだ今年からガイドになったばかりの新人さんで、今日のこのツアーのために並々ならぬ準備をしてきたことがだんだんと鈍感な私(と「若い人たち」)にも伝わってきた。
バスから見える物の一つ一つについて詳しく調べてあるのはもちろん、景色に合わせて沖縄の音楽を流したり、自分でも歌を披露したり(はっきり言ってとても下手なのだが、一生懸命歌ってくれるのだ)、拍手がパラパラとでも起これば、「暖かいご協力ありがとうございます」と深々と頭を下げる。
「口をあけているシーサーは男でしょうか?女でしょうか?」というようなクイズにも皆の反応は薄く、パラパラとしか手が上がらないのだが、くさることもなく「じゃあ挙手のないお客様はニューハーフと思っていらっしゃるということで」とサラリと流し、紙芝居をし踊りを踊り三線(沖縄の三味線みたいな楽器)を弾き・・・過去ナレーション関係のお仕事でもされていたのか、話すのはとても上手で紙芝居などは素晴らしいのだが、踊りと三線にいたってはあきらかに慣れていないのがわかる。
ただ、とにかく一生懸命、皆を楽しませようと思ってくれているのがだんだんバス中に伝わってきて、我々乗客の態度も「協力体制」に変わってきた。
ことあるごとに「このメンバーで今日一日ご一緒させていただくことになったのも何かのご縁。忘れられない暖かい旅行にするため、家族のようなお心でよろしくお願いいたします」と頭を下げるTさん。
最初はガイドさんの決まり文句と思い気に留めていなかったが、彼女の努力に接するにつれ、本当にTさんが心から今日一日のツアーを大切に思い、皆とよい思い出を作ろうとしてくれているのがわかって暖かい気持ちでいっぱいになった。
ツアーの最後に「皆さまが観光されている間に、人数分の折鶴を折ったのでよかったらお持ち帰りください」と1羽ずつ鶴をくれた時には、その気持ちに応えようと?メンバーのおじさまの一人がすかさずありあわせの紙で「亀」を折り、「じゃあこの亀を今日のお礼をこめてTさんに」とプレゼントしたり、「折鶴なんてベタすぎて恥ずかしい」と思いがちな「若い人」の代表格であるうちの娘でさえも、「この鶴なくさないようにしなくちゃね」とかばんの奥にしまったりの一幕もあり、交通の一手段としてこのバスを選んだに過ぎないのだけれど、またまた思いがけず神様からのプレゼント(第2弾)をもらったような気がして感激してしまった。
最後の最後にTさんから「会社からは独身のふりをするよう言われておりますが、実は6歳の双子と2歳の3人の男の子がおり、日々戦争でございます」と告白があり、皆えーっとのけぞる。
Tさんにとってこれは仕事、子どもが何人いようと準備や努力をするのは当たり前という考え方あるだろうけれど、やはり彼女が本当に今日一日のツアーを大切に思っていなければできなかったことばかりだと思うし、その気持ちに少しでも嘘があれば、こんなにもまっすぐに彼女の心が我々に伝わってくることもなかっただろうと思う。
ガンを得て余命ということを考えざるを得なくなり、一日一日をていねいに・大切にと事あるごとに口にしている自分。
私は本当に彼女ほど、今日一日を大切にしようと努力していただろうか。
身体が思うように動かないという言い訳もさせてもらいながらだが、Tさんのことを忘れずに一日という時間やその日に出会えた幸せについて考えていきたいと思った。
旅行に行くと元気になってしまうのは、こんな人に出会えるからなのかも知れない。
もっともっといろんな人に出会いたい。
神様、一日でも長く、よろしくお願いいたします。
今日一日
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お帰りなさーい
望さん、旅行に行くとホントに元気になるんだねー
心配してたけど、よかったです
明日から治療だね。行き帰り道、気をつけてね!
今回も良い旅になりましたね♪
それにしても、望さんの文章力に感心!!私も一緒に旅行して、ガイドさんの真摯な仕事ぶりに心が温かくなったような気がしてしまいました。
そして、私も心を込めて仕事したいとあらためて思いました~o(^-^)o
>バニバニさん
たぶん「体調」そのものは普段も旅行中も同じなんだろうけど、旅行中は多少の不調には気がついていないんだなあ・・・と、昨日ふと思いました。気持ちの持ちようって大切なんだね。
今から抗がん剤治療、がんばって(と言っても横になっているだけだけど)来ますね!
>アイさん
「心を込めて」っていい言葉ですよね~。
ほんとに素敵なガイドさんだったんです。今でも一緒にとった写真やいただいた折鶴を見ると暖かい気持ちになります。
望さんが素敵な人たちに会ったり、素晴らしい体験をするのは、良い所を感じようとしているからなのね、と思いました。その結果、温かい気持ちになる事が出来る。
とてもお手本になります。ありがとう。
>かおるさん
どこへ行っても虎視眈々と?「幸せ」探しをしているあやしい私です。
なにげない風景の中にもいろんな幸せがあるなあと、最近しみじみ思います。