病気

先生、ラブリー♪

 腹水が貯まってしまい苦しくてたまらず、昨日(2010年7月13日)、病院で初めて腹水を抜く処置をしていただいた。
左のわき腹に局所麻酔をして針を刺し、水を抜いていただいたのだが、最初にチクッとしただけで特に痛いようなこともなく、無事に終了。
水は2500cc出たそうだ(!) 2500ccって牛乳パック2本以上だよね? そんなにたくさんの水がお腹に貯まっていたのでは苦しいはずだ~とびっくり。
水を抜く前に腹囲を測ってもらったら、トリガラのように痩せている私なのにものすごい「かえる腹」で74センチもあって、で、水抜き後また測ってもらったらなんと63センチと、たった1時間半で9センチも減っていた。
娘や看護師さんと「こんなにお腹やせするなんて、もしエステだったらすごいよね~」と驚く。
お腹は確かに楽になったが、ちょっと熱が出たり倦怠感がひどかったりしたし、実は今朝起きたらもう既に新たな「水」が貯まり始めている気配が・・・・これからの日々は「腹水といかに暮らしていくか」がテーマになりそうだ。
腹水さん、どうぞお手柔らかにお願いいたします。
で、昨日処置をしていただいている間、どうも主治医の先生(O先生・おそらく30代?の男の先生)の様子が挙動不審であった。
どう考えても、私と目を合わせないように、私から何か質問されないようにと腰がひけている感じ。
今まであまりこのようなことはなかったので「むむむ、もしかしたら?」と思っていたのだが、案の定、娘の方にお話があったとのこと。
先生は私に「もう抗がん剤が効いていないので、身体への悪影響を考え中止したほうがよい」と言いたかったようなのだが、それを告げた時、私が受けるショックを考えていろいろ悩んでくださっていたようなのだ。
今の薬が使える最後の薬なので、それを中止するということは、つまりもう「手詰まり」ということになるからだ。言いにくいよね、こんなこと。
娘に廊下でこっそりメモをくださったらしい。
能天気な娘は「先生、メアドでも教えてくれたのかなあ(ナンパ!?)」と一瞬思ったらしいが、そうではなく(当たり前)、そのメモには「後でお話いいですか?」と書かれていたらしい。
そして私が処置を受けている間、別室でいろいろ説明してくださったそうだ。
抗がん剤は毒性の強いものなので、効かないなら治療をやめた方がいいと思うが、本人がそれでもやりたいなら続けることもできるので、それを次週までに相談して決めてきてほしいということ、またここから先の病気の進行はおそらくとても早いと思われるので、いつ何が起こっても対処できるよう家族で協力して準備しておいてほしいこと・・・・先生はこれを私に言いたかったようなのだが、どうしても本人には言えなくて、娘から上手に伝えてほしいと「振った」ようなのだ。
そんな先生の様子を話していて、思わず我々二人の口をついて出た言葉は「先生って、ラブリー♪♪♪」
お世話になっている先生に対して「ラブリー」だなんて、失礼きわまりない表現かも知れないけれど、私にショックを与えるのがつらくて目を合わせないようにしている先生の様子を思い返したり、「娘さんからうまく伝えてね」と一生懸命説明してくださっている姿を想像したりすると、どうしてもラブリーという言葉が浮かんできてしまって。
先生、お気遣いありがとうございます。
そして悩ませてしまって、本当に申し訳なく思います。
来週は私の方から、もう抗がん剤治療は受けないこと、でもこれからもこの病院でお世話になり緩和ケアを受けたいことをしっかりと伝えたいと思う。
それにしても、先生の専門は「内科腫瘍」(つまりガン)
先生の患者さんはおそらく全員がガンな訳で、日々このような「告知」をしなければならないお仕事なのだが、先生はなぜ内科腫瘍医を選んだのだろう!?と我が家では盛り上がってしまった。
他にもいろいろな診療科があっただろうに、なぜよりによってガンのお医者さんに・・・・
そして、上記のもろもろの話をしたのは、なんと病院帰りのタクシーの中。普通に「もう抗がん剤が効いてないらしいよ」「えーっ、先生あとどれくらい生きられるって仰ってた?」という会話をかわす母子に、タクシーの運転手さんはさぞかしびっくりされたことだろう。
お金を払う時、何だか緊張されていたのが伝わってきたもんなあ。
昨日一番災難だったのは運転手さんだったかも知れない。ごめんなさい!
*昨日(2010年7月13日)の、中日新聞(東海地方でしか買えない新聞)夕刊に、このブログをまとめた本のことを載せていただいたようです。
本自体も、そしてその記事も、全て友人たちの暖かい気持ちのおかげで実現したものです。
みんな、ありがとう♪
もしお時間あれば、右下のリンク欄から記事を読めますので(そのうち消えちゃうかも知れませんが)クリックしてみてくださいね!

POSTED COMMENT

  1. 葛の葉 より:

    はじめまして。
    昨日中日新聞の夕刊を拝見しました。
    私の母が末期の膵臓ガンで緩和ケアに入っています。
    私は病院勤務でありながら申し訳ない事をしたと後悔しています。しかし、87歳という高齢でもあり母は静かに受け止めて穏やかにしております。幸せな一生だったし、今はなににも執着がないわ。ただ、逝く私はいいけど残される貴女には辛い思いをさせるね。けれど病弱な貴女が先に逝かなくて良かったと思ってる。長生きしてねって。
    腹水も一度抜きました。しかしかなりの臓器に転移があるので食事が摂取できなくなっています。大食漢だったのでそれが辛いです。きっと一生分たべたのよと言っておりますが。今日は中心静脈ポートを留置しています。こちらが不安定になっております。頑張れないけど一所懸命看病したいと思います。お嬢様との会話。泣くのは止めようと思いました。

  2. bucchi より:

    新聞見ましたよ。なぜか、一面の見出しを見た段階で「載ってる!」と思った私でした。
    先輩達も当然ご覧になっていて、話題になっています。
    思いがけずお顔を拝見できたので、記事の内容そっちのけで写真に見入ってしまいました。(他にも懐かしい顔があった☆)
    先生のことを「ラブリー」と言っている、望さんの声が聞こえてきました。(正確には聞こえたような気がしたですよね)
    記憶には距離も時間の経過も関係ないんだなと思ったりしています。
    またね。

  3. みどり その2 より:

    腹水そんなにたまるんですね。
    何かたまらない方法があるといいのにね。
    お嬢さんがしっかりついていてくれて心強いですね。
    昨晩息子が「これってお母さんのお友達じゃない?」と夕刊を持ってきました。
    わが家では折りにふれ私が望さんの話を家族にしているのですっかり定着したようです。
    なつかしいみなさんのひまわりを思わせる笑顔がまぶしかったです。
    名古屋に戻っていた時の写真ですよね?
    楽しい時間が過ごせたのが伝わりました。
    よかったね。

  4. しのぶ より:

    わざわざお返事下さってどうもありがとうございます。新聞のお写真、とてもきれいで、可愛いおかただなあと思いました。
    おせっかいかいな性格で、本当に申し訳ありません。「丸山ワクチン」というものを試してみたらいかがでしょうか。私は今は専業主婦をしてますが、以前は医療職でした。患者さんで、このワクチンが劇的にきいたかたがいらっしゃいました。もしよろしければ。日本医科大学で取り扱っており、講習会を受けると、ワクチンをわけてもらえます。
    私にも娘がおり、また両親もいます。娘さんはまだ遊びたい時期なのかもしれません。ご両親もさぞご心配なさっていることでしょう。望さんの、お気づかいにとても感動しています。おせっかいで大変申し訳ないです。みなさん、望さんとずっと一緒にいたいと思っていると思います。お友達もそう思っていると思います。
    お金のことなども気になるのもよくわかります。どんな方法でも試してみたらいかがでしょうか。抗ガン剤も個人で輸入などすれば、まだ使える薬もあると聞いたことがあります。
    乳がんになられた、お医者さんの小倉恒子先生もそのように、輸入して使っておられたようです。
    みなさんが、望さんの笑顔をずっとみていたいと思います。
    娘さんは強がっているところもあると思いますが、ママとずっと一緒にいたいと思っていると思います。
    お金のことが気になるのはよくわかります。募金などもしてみたら、いいかもしれません。私も出来れば、協力したいです。
    どうか、どうか、望さんに合うお薬がみつかりますように。少しでも体調がよくなりますように。お祈りしてます。
    私のような関係のないものがおせっかいを申して、失礼かと思います。でも是非、癌をやっつけてもらいたいです。望さんなら出来ると思います。またコメントさせてもらいます。

  5. おせっかい その2 より:

    しのぶさん、はじめまして。
    私は 望さんの友人で このプログの愛読者です。
    ガンを公表する、ということは、ものすごい量の情報が押し寄せてくる、ということです。
    これがいいよ、とか これを使ってみて、とか。私の母でさえ、テレビでやってた療法は望さんにどうか、と電話してくる。でも、丸山ワクチンでも 効く人もいるし、効かない人もいる。
    これはどうか、あれはどうか、と思い悩み、お金と時間を使って、時には苦痛に耐えながらでも 貴重な時間はどんどん過ぎていく・・・。
    それに賭けてみたい!というのも、ひとつの生き方です。
    でも 望さんは 熟考の末、生きている時間を大切にしたい、そのために 時間とお金を使うことにしたんです。
    「治療のため」でなく、与えられた時間をじゅうぶんに「生きるため」に。
    その決意が このタイトルに示されている、と思いませんか。
     すいません。私もかなり おせっかいです。
    実を言えば、我が家は皆「蓮見ワクチン」の支持者です。義母はこれで 重篤な状態から 生還しています。
    それを話しても、望さんの決心は 揺るぎないものでした。
    もちろん、私も友人も 望さんが元気になってほしい、ずっとずっと 笑顔でいてほしい、と思います。
    だけど 今の彼女からは すがすがしいまでのものを感じます。
    一日でも長く 彼女と共に 泣いたり笑ったりしていたいと思う。
    しのぶさんの気持ちは しっかり彼女に届いていると思いますよ。

  6. より:

    >葛の葉さん
    はじめまして。ブログ訪問、ありがとうございます。
    私は、葛の葉さんのまだお母様ほど静かな心境になれている訳ではありませんが、今自分に起こっていることが娘に起こったのではなくてよかった、そして残される人たちの方がきっとつらいんだろうなというお気持ちはとてもよくわかります。
    お母様が少しでも楽に過ごすことができますように・・・お祈りしています。
    >bucchiさん
    少し老けた???懐かしい顔がいっぱい並んでいてびっくりしたでしょ?
    ほんと、記憶は距離も時間も飛び越えるね。私にも学生時代そのままのbucchiの声が聞こえるような気がします。
    >みどり その2さん
    息子さん、よく気がついてくれましたね!すごーい!
    撮影のときは本当に楽しくて、自然にあの笑顔になりました。
    腹水がたまるのを少しでも遅くするには、たんぱく質をたくさん摂るのがよいみたいで、と言ってももうお肉などあまり食べられないので、看護師さんのアドバイスで「ゼラチン」で作ったゼリー等食べています。たんぱく質豊富なんだって・・・知りませんでした。
    >しのぶさん、おせっかいその2さん
    私のことを本当に心配してくださり、気遣ってくださっているお気持ち、しっかり届いています。
    とても嬉しく思います。
    私は自分のことしか考えていない人間で(もっと環境やら消費税のことやら考えなくちゃいけないのでしょうけど・汗)、今は自分の時間や体力をどのように使うかということだけを考えて暮らしています。
    そして心のままに、親しい人たちと過ごす時間や好きなことをゆっくりして暮らす毎日を今は一番大切に考えています。
    何も手を尽くさず死んでもいいと思っている訳ではなく、他の事よりも優先して受けたいと思える治療法にもし出会えば、そちらに全力投球してしまうかも知れないし・・・ほら、「心のままに」の人間ですから(笑)
    生きるって、時間と体力(あとお金か)をどう使うかってことなんだなあ、としみじみ思う今日この頃です。
    本当に暖かいコメントありがとうございます♪

  7. しのぶ より:

    望さん、おせっかいその2さん、メッセージありがとうございます。
    望さん、応援してます!!またブログ拝見させて頂きますね。

  8. より:

    >しのぶさん
    はーい、お待ちしています♪
    梅雨明けして暑いので、体調気をつけてくださいね。

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