暖かい人たち

昭和のお手紙少女

 このブログの昨年末(2009年12月)までの記事を、友人たちが本にまとめてくれた。
本を作るというのは初めての経験だったのだけれど、私が考えていたよりずっとずっと大変なことで、写真やイラスト(友人たちが描いてくれた)等をどういう順番でどう入れていくか、表紙(これも友人が描いてくれた)をどうするか、そして誤字・脱字だらけの元ブログの校正も何回かしなくてはならず・・・としなくてはならないこと、決めなくてはならないことがとても多くびっくりしてしまった。
そしてこれをほとんど友人たちがやってくれたのだ(私ときたら最終チェックの原稿を放り出し入院する始末)
本を遺したいという気持ちはあっても、ひとりではとても実現できなかったと思う。
皆さん本当にありがとう。
そのできあがった本を持って、大阪と名古屋から友人が5月3日・4日と横浜に来てくれた。
私に本をプレゼントしてくれるための寄付付きで本を購入してくださった人たちにお送りする本に、メッセージを入れることにしたのであるが、私の方が本のあるところ(大阪)に移動すればよいのに行けないので、本の方を運んできてくれたのだ。
25冊の本はかなりの重さで、帰路友人のキャスターバッグの車輪が壊れてしまったほど!
でも生まれて初めて自分の名前がはいった本が積みあがっているのを見て、本当に嬉しかった。
夜、大船のホテルで、買ってくださった方のお顔を思い浮かべながら(面識のない方の場合は想像しながら)メッセージを書き込んでいく。
私は昭和の「お手紙世代」の人間。元々手紙を書くのが大好きなので、書きたいことがどんどん浮かんできてどうしても長くなってしまう。
でも買っていただいた本を開いて、まるで脅迫状のようにびっしりと細かな字で何か書き込んであったら気持ち悪いと思うので、そこはできるだけ控えめに本当に書きたいことだけ書くようにして。
私に本をプレゼントするために、寄付を募ろうと思いついてくれた人がいる。
そして、お金ってとっても大切なものなのに、私なんかの本を買ってもいいと考えてくれた人、その上寄付をつけてもいいと思ってくれた人がこの世にいる。
皆さん、ありがとうございます。
ガンになったことがいいことなのか悪いことなのか、総括するのはとても難しくて、たぶん結論は出ないまま死んでいくんだと思う。でもそれでいいんだよね。
ガンの症状や治療はとても苦しい。やや早めに死ななければいけないのはとても悔しくて悲しい。
でもガンになったことで暖かい体験をさせてもらったり、幸せな気持ちを味わえたりしたことも確かな現実。
それさえわかっていれば、もう私はそれでいい。ガンになったことの意味はもう考えない。
今、不思議と安らかな心でいられる自分がいる。素直にそれだけを受け止めたい。
「メッセージ入れ」の前後に、北鎌倉の円覚寺や、大船駅から見える大きな白い「大船観音」にお参りすることもできた。
退院してからまったく遠出をしていなかったためドキドキだったけれど、友人たちにずいぶん気を使ってもらい、体調を崩すことなく楽しむことができた。
横浜在住の友人も顔を出してくれて一緒にお茶することもできたし・・・
ああ、4月30日(私が考えていた死亡予定日)に死ななくてよかった!まだまだすばらしい日々が待っていた!
一日一日、かなりあぶなっかしいけれど、思い出に残る日々を積み重ねていけたらと思う。
「毎日がジェンガゲームの末期がん」 望
(皆さん「ジェンガ」っていう木を積み上げていくゲームご存知ですか? 結構面白いよ♪)

POSTED COMMENT

  1. michiko より:

    鎌倉・大船の旅はお付き合いありがとう!!
    気を遣っていたつもりが、色々と歩き回り、夜遅くまで付き合わせ、最後まで引きずり回したような気がして申し訳なく思います。
    後からどんどん心配になってきました…
    でも、なんとか一日ちょっと?くらいで持ち直してくれてホッとしています。
    この病気になったことは受け入れながら、でもこの日一日を生きることをあきらめずにいるnozomiさんをひしひしと感じた旅でした。
    きっとまた会えると信じています。
    最近、人と会っても話題がなくて話が途切れることが多いんだけど、nozomiさんとはなんであんなに次から次へと話すことが沸いてくるんだろうね?
    これから、nozomiさんのメッセージを載せた本を送る作業しま~す。

  2. バニバニ より:

    本を作るのって、大変な作業なんだね。
    それを実行してくれるお友達がいるって、素晴らしいことだよね。
    お友達に感謝だね。

  3. より:

    >michikoさん
    ほんとにたくさんおしゃべりしたよね!すごく楽しい旅でした。
    お休みなのに本の発送ありがとう。本当は私がやらなくてはいけないことを全部やってもらって、申し訳なく思っています。
    感謝のキスをネット回線を使って送ります!(いらないか)
    >バニバニさん
    そうなんです、友人たちの暖かい気持ちがなかったら本を作るなんて絶対できなかったんです。ありがたくて嬉しい気持ちでいっぱいです。

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