家族

あらためてよろしく

 娘とシンガポールに旅行に行き、無事帰宅しました。
帰国後の疲れも特になく、普通に生活できています。
ご心配くださった皆様、ありがとうございました。
今、私は娘と二人で暮らしている。なので娘とはもちろんしょっちゅう顔を合わせているのだが、彼女は不規則な仕事(看護師)をしているし、その他にも楽しい予定がいっぱいらしく(うらやましい)、一緒にいる時間は案外少ない。
三泊四日もの間びっしり一緒に時間を過ごすなんてずいぶん久しぶりだし、ほら、旅行中っていろんなことが起こるから相手の思わぬ一面を発見したりすることがあるでしょ?
シンガポールでH○S(格安ツアー会社)のものすごい「営業」に驚いたのと同じくらい(!)、娘のいろんな面を発見して面白い旅になった。
一番意外だったのは、案外根性がないんだな・・・ということかな(笑)
親が離婚したり、看護学校が大変だったりという彼女の苛酷な人生を見てきたから、私は「ほんとにこの子は根性があるんだなあ」と、親ばかで尊敬すらしていた。
しかしそれがかなりの「かいかぶり」であったことがわかった。
シンガポールではフードコート(屋台の集合体みたいな感じ)がものすごく多くて、食事は主にその手のところで食べていたのだが、デザートを買いに行った娘がものすごく暗い表情で戻ってきた。
「マンゴープリンって言ったのに、こんなの出てきた」という彼女が持っているのは、アツアツのココナッツミルクの中に芋がいっぱい浮かんでいるスープ。(外気温30度以上)
生まれて初めて見る食物だったので、ガイドブックで調べたところ「ボボチャチャ」というシンガポールでは一般的なスイーツであることがわかった。
我々には確かになじみがないが、決してまずいものではない。しかし暑いので、どうしても冷たいデザートが食べたいと言う。
「じゃあ、買ってくればいいじゃん。これ私が食べるから(結構気に入っていた)」と私が言うと、「行きたくない・・・またボボチャチャが出てきたらどうするの?お母さん買ってきて」と席を立とうとしない。
しかし私もめんどくさかったので、「えーっ、私はM(娘)より23歳も年上でしかも病人なんだよ~」と定番の言い訳。
さんざん言い訳合戦をして、結局私がマンゴープリンを買ってきてやったのだが、こんなことでくじけるなんてなんと根性のないことか。お母さんはちょっと情けないぞ・・・とちょっとショックを受ける。
まあ娘の間違い(?)のせいで、こんなことでもなければ絶対食べられない「ボボチャチャ」を体験できたのはよかったけどね。
その他にも、ガイドブックを頼りに行きたいお店を探している時など、ちょっと迷ったりするとすぐに「もうあきらめようよ~」と言うのだ。そして疲れるとすぐ顔に出る。
親と一緒だから素の自分が出ているようで、たぶん友達との旅行とかだったらもうちょっとしっかりふるまっているのだろうけど(そう信じたい)、意外に気弱な面があるんだなあと目ウロコだった。
もちろんよい面の発見もある。
「ナイトサファリ」という、夜の動物園を車でゆっくり回るテーマパークに行ったのだが(富士サファリパークの夜バージョンといった感じ)、いろんなことにいちいち感動して喜ぶんだよね。
鹿を見ては「かわいいかわいい!」、サイを見ては「大きい大きい!」、キリンを見ては「背が高い背が高い!」と、彼女の母親と一緒で語彙は非常に貧弱だが、心から感激しているのがわかる。
その他、おいしい物を食べれば「おいしい、これ本当においしい」と喜び、バスの中から見える様々な物にいちいち興味を示し写真を撮り(緑色の消火器とか道端の落書きとか)、と、そんな彼女を見ていると、もちろん年齢的なことが大きいのだろうけど、柔らかい心を持っているんだなあと楽しくなる。
今まで娘にはずいぶん迷惑をかけたし、病気のことがあるのでこれからはもっともっと迷惑をかけることになると思う。
でも長い時間を一緒に過ごしたことで、私にとって最も近しい人の新しい面を知ることができて、私も少し考えが変わった。
本当は弱い面もある彼女に頼り過ぎないように、そして彼女が柔らかい心を失わないように・・・
今はこう言いたい気持ち。
「あらためてよろしく♪」と。

POSTED COMMENT

  1. バニバニ より:

    お帰りなさ~い。楽しんできたんですね♪
    Mちゃんは望さんに甘えているのではないかしら。外ではしっかりしているのではないかな。シンガポール、行ってみたいです。
    あと、○○通信にも記事が載りましたね。読みました。望さんは文章のセンスが素敵ですね。

  2. あま より:

    お帰りなさい。母娘で旅行、うらやましいです。(うちは息子二人)
    うちの息子も、上海で買い物ができませんでした。
    Tシャツ1枚買うのにも、店員さんとの粘り強い?値段交渉が必要なのです。
    100元!  NO,NO,50元!  ってやつ。私は結構好きだけど、息子たちはダメみたい。
    普段、コンビニとか、スーパーにしか行っていないので、そもそも、店員さんと話しをして買い物をしたことがない! カゴにいれて、黙ってレジに出すだけ!!  
    Mちゃんは、ボボチャチャ買って来られただけえらいよ。

  3. より:

    >バニバニさん
    シンガポール、とても楽しい所でしたので、ぜひ!
    私の文章のテイストって、小学校のときから全然変わっていないんですよ(友人が小学校のときの作文を見せてくれて判明)
    今と全く同じで、乏しい語彙でぶっきらぼうに書いてました(笑)
    >あまさん
    買い物するときってある種の「ずうずうしさ」が必要だもんね。私たち「お○さん」の得意分野かもね♪

  4. さなえ より:

    楽しかったみたいですね!!
    ちなみに、望さんが結局買いに行って、マンゴーぷりんを頼んで、マンゴープリンが出てきたの?ボボチャチャはなぜ出てきたのかな、聞き間違い?
    むすめさんは、望さんを結局言い負かして無事マンゴープリンをもらったんだから、くじけないで望みのものをもらったのかも~~。うちの娘はまるっきりの怠け者で、私に比べて根性は驚くほど少ない。多分、意思貫徹よりも、柔軟というほうが勝っているみたい。あっさりしてるのよね。世代の違い?
    柔らかい心でいろいろなことに感動する娘さん、それが一番だよね。それに気づいている望さんもいいお母さん^-^

  5. より:

    私が「マンゴープディング!」と叫んだら、ちゃんと出てきました(日本で食べるのとは違って、かき氷の上に乗っていたけどね)
    ボボチャチャがどうして出てきたのかは、今もって謎です。
    世代の違いって確かにあるよね。こだわりポイントが微妙に違っていたり・・・世代の違う人との生活や旅はそういう意味ではおもしろいよね。

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