お出かけ

全てがまっすぐに

 昨日(2010年2月21日)、海外逃亡(シンガポール一人旅)から無事帰ってきました。
旅行中は体調もよく、したいと思っていたことのほとんどを実行することが出来て、大満足の旅行となりました。
皆さん、ご心配いただき本当にありがとうございました。
旅行というものは、どうしてこんなにも私に力を与えてくれるのだろうか。
末期がんの患者で、元気なふりはしていても、やっぱり体力はなくふだんは病人なりの暮らししかできていない私が、突然スイッチがはいって別人になってしまう。
万歩計をつけていなかったので正確にはわからないけれど、一日ゆうに2万歩以上は歩いていたのではないだろうか。
シンガポールではまるまる3日観光したのだが、1日目はセントーサ島という、横浜で言うなら八景島みたいなリゾートに行き、マーライオンのタワーに上ったり水族館でピンクのイルカを見たり。
本当はピンクのイルカと写真を撮りたかったのだが、ショーの時間の関係でかなり待たなくてはいけないことがわかり(アシカとならすぐ撮れたのだけど・・・アシカさんごめんね)、それはかなわなかった。
でもかわいいショーを見られてとても癒された。
そして、夜は「シンガポールフライヤー」という世界一大きい観覧車に乗るという野望をみたすため、またまた外出。(幸い突然ドバイに世界一の観覧車ができるということもなく、台北101で果たせなかった世界一制覇の夢を達成♪)
ここで私のバカさ加減が露呈する。
ホテルの部屋からシンガポールフライヤーが見えたため、深く考えずいきなり目的地に向かって歩き出してしまったのだ。ガイドブックには確かに「シャトルバスうんぬん」と書いてあったのだが、それに乗るバス停の説明がちょっとごちゃごちゃしていて考えるのが面倒になってしまい、こうして見えているんだから、歩いていけるだろうと思い込んでしまったのだ。
シンガポールフライヤーが思っていたよりとても大きいもので、この世には遠近法というものがあったことに気付いたのはしばらく歩いたあと。
歩けども歩けども着かない。確かにそこに見えているんだけど(笑)
何度もタクシーに乗ろうと思ったのだけれど、「シンガポールフライヤーまで」と言ったら「そこだよ」と言われて乗車拒否されそうで(だって見えているんだもん)、結局なんだかんだと1時間近くも歩いてしまった。大きいものってどこからでも見えるんだね・・・(当たり前か)
まあ歩いている間にもいろいろ街中の見物ができてよかったのだが、階段も上れずすぐタクシーに乗る日本での弱りきった私からは信じられない行動。
次の日もその次の日も、アラブストリートやチャイナタウンを歩き回ったり、博物館をすみずみまで見たり(5つも博物館を見たのだ)、リバークルーズをしたり・・・そしてその都度必ず道に迷うというおまけつきなので(私はかなりの方向オンチ)、いやがおうにも歩行距離は伸びていく。
どうしてこんなに歩けちゃうんだろう。
そしてどうしてこんなに元気いっぱいなんだろう。
あと2ヶ月と10日で死んじゃうなんて(2009年10月の終わりに余命半年と言われたので、2010年4月30日までしか生きられない計算)本当に本当なのかなと、もしかしたらいだいてはいけないのかも知れない希望を持ってしまう。
それとも、これって最後の「命の輝き」(美しい♪)なのだろうか。
そんなことを考えながら、歩いて歩いてめいっぱい楽しんだ旅だった。
誰かとする旅行ももちろん楽しいが、今回はしゃべったりふざけたりする相手がいない分、見た物・出会った物に集中することができ、全てがまっすぐに心の中にはいってきたような気がした。
シンガポールは観光の街なので、いろんな国の人が旅行に来ている。その中でよく目についたのが、お年を召した欧米の方と思われるカップル。
リタイア後の旅行を楽しんでいるのだろう、手をつないだり腕を組んだり、皆さんとても仲むつまじい。
長い人生の間にはさぞかしいろんなことがあったのだろうが、ある程度の年齢になり、こうして仲良く二人で旅行できているという事実。
悔しいが、離婚して今重い病を得ている私が人生で得られなかったものが何だったのか、これも痛いほど胸にまっすぐはいってきた。
私も人並みの長さの人生を生き、できれば心の底から信じあえる生涯のパートナーを得たかった。ふだんは「私は幸せ」と強がりを言っていても、それが本当の気持ちだ。
人生でかなえられなかったものが確かにある。それを認めて死んでいくしかない。
マーライオンにはしゃいでいる年配のご夫婦、まさかこのあやしい小さい東洋人女性(私)が自分たちを見てこんな重~いことを考えているなんて、チラッとも想像しないことだろう。
それでいいんです♪ これからも仲良く楽しんでくださいね♪
明日は抗がん剤治療、逃亡生活は終わり、病人としての私の日常が待っている。
旅行を楽しんだ分、しっかり現実を受け止めなければ。いつもよりちょっとだけ強い心が持てている気分。
でも神様、また心が耐えらなれなくなったら、逃亡してもいいですか?
今度はどこに逃げようかなあ♪ やっぱり何か「世界一」のものがあるところがいいなあ♪
ドバイの様子に注意しつつ選んでいきたいと思う。

POSTED COMMENT

  1. ひーみ より:

    おかえりなさい。すごい。いっぱい歩いたんだね。まだまだ行けるよきっと! それで 黙っていないで、すてきなカップルに声をかけてはいかが?Happyだね!って。台湾で望さんが言われたように、幸せですよ、って。幸せ配達人。ちょっとステキなお仕事かも。思い出をもらってくるだけでなくて、ばらまいてみたら、世界中に。おもしろいかもよ。望さんならできそうな気がする。

  2. みどり その2 より:

    おかえりなさい。無事に帰国できたね。
    前のブログを読んで『大丈夫かな?』ととても心配していました。よかった。
    たくさん楽しい時間を過ごせたようですね。
    独身時代はたまに一人旅に出ていました。
    でも海外は言葉の壁が越えられず行ったことがありません。
    ちなみに私はものすごい方向音痴。
    なぜ一人旅から帰ってこれるのか友達の間で最大の謎になっています。
    望さんはすごいなぁ。
    是非是非また世界一を見てきて教えてくださいね。

  3. バニバニ より:

    おかえりなさーい。
    ほんと、心配してましたよー
    たくさん歩いたんだね!驚きました。
    望さんは旅行がエネルギー源なんだね。
    治療、副作用がありませんように。

  4. かおる より:

    おかえりなさい
    楽しい思いでたーくさん、よかったですね~
    みんなそれぞれの人生を生きているのよね。
    望さんの生き方、いいんじゃない、って思います。
    次の旅行先、考えるのも、楽しいですね♪

  5. より:

    >ひーみさん
    あやしい小さい東洋人女性の「幸せ配達人」!
    いいかも(笑)
    今度幸せそうな人を見たら声掛けてみようかな♪
    こちらも幸せになれそうですね。
    >みどり その2さん
    帰宅したら「ニ○ンカンネット」届いてました。どうもありがとうございます。名古屋ではみんなバリバリ活動しているんですね。
    私の方向音痴も相当なもの、でも迷うのもまた楽し♪と積極的に?迷っています。
    >バニバニさん
    昨日はお電話ありがとう。
    今朝はパンを食べることができました。だいぶ復活してきたよ!
    いつも心配かけてごめんなさい。
    >かおるさん
    うんうん、みんなそれぞれの人生でいいんですよね。私もなんだかんだ言っても、やっぱり今の自分の人生しか生きられなかったと思います。
    次の旅行先はハワイがいいなと思っているんだけれど、時差が・・・体力持つかなあ?

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