がん情報

がんの薬物治療がはじまる前に準備しておくといいこと6つ

こんにちは、美咲です!

今回はがんの薬物治療をはじめる前に、準備しておくといいことについてお話ししたいと思います。

私のお母さんがすい臓がんになり、最初に使った抗がん剤は「TSー1」でした。

私はそのTS-1にどんな副作用があるのかよく知らず(というか、抗がん剤治療自体が一体どんなものなのかもよくわからなかった)、1人で頑張っていたお母さんの力になってあげることができませんでした。

看護師になった今では、あの時もっと抗がん剤について勉強していたら

「吐き気が出るタイミングは予想できることが多いから、辛くなる前に吐き気止めを使っとこう」

とか

「爪にトラブルが起きることが多いから保湿しておこう」

と伝えられたのに・・・と後悔しています。

(そもそも甘えずにもっと家事をすべきだった(;_:)→こちらの記事

どんな副作用が出やすいかは、治療で使う薬剤によって異なるのですが、

今回はがんの薬物療法をはじめるにあたって、全般的に当てはまる「準備しておくとよいこと」についてお伝えしていきますね♪

まっくすくん

個人が研修で得た知識や、がん患者家族として感じたことを元に記事にしています。間違っている部分や、すべての人に当てはまらないところがあるかもしれません。何かのきっかけになればと思い発信していますので、ご容赦ください。治療や副作用に関しては必ず、主治医と相談・確認をしてくださいね。

今回の記事で伝えたいことは以下の6つです。

がんの薬物治療が始まる前に準備しておくこと
  1. 皮膚や爪の保湿をはじめる
  2. 歯医者さんで健診やクリーニングを受けておく
  3. 感染予防を習慣化しておく
  4. 治療する環境を整える
  5. 支持療法の薬にしっかり頼ろう
  6. 使える制度を確認しておく

順番に見ていきます。

①皮膚や爪の保湿をはじめる

がんの薬物治療で使われる「殺細胞性抗がん剤」のお薬は全身の細胞に影響を及ぼすのですが、特に活動サイクルの速い細胞によく作用します。

皮膚や爪は活動サイクルが速い細胞なので、抗がん剤の影響を受けやすく、皮膚が荒れたり爪が脆くなったりといった副作用が起きることがあります。

また一部の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬でも、副作用として皮疹や爪障害が表れることがあります。

がんの薬物治療をすると決まったときから、できるだけ全身の保湿をするのがおすすめです。

自分が使いやすい市販の保湿剤でかまいませんので、1日1回、お風呂上がりの時にでもさっと保湿ケアをしてくださいね。

採血や点滴につかうテープ類で皮膚が荒れやすくなったりもしますから、日頃から保湿しておくのがおすすめです。

②歯医者さんで健診やクリーニングを受けておく

がんの薬物治療をすると、口の中が荒れやすくなったり、口内炎が起きやすくなります。

その時に口の中の環境が良くないと、口内炎が悪化しやすい傾向があります。

がんの薬物治療が始まる前に、歯医者さんで虫歯がないかチェックしてもらったり、歯石などを取ってもらうクリーニングを受けておくのがおすすめです。

抗がん剤治療をすると、全身の免疫力が落ちやすくなってしまい、くすぶっていた虫歯が悪化したりすることもあります。

抗がん剤の影響で、止血に関与する「血小板」が少なくなっていると、抜歯などの処置がスムーズに行えない可能性もあります。

がんの薬物療法をするような大きい病院の歯科にかかろうとすると、すぐに予約が取れないこともあるので、普段からかかりつけの歯医者さんを持っておくことも大切だと思います。

③感染予防を習慣化しておく

殺細胞性抗がん剤を使った薬物療法を行うと、一時的に免疫力が低下する時期があります。

今は残念ながらコロナウイルスが流行しているので、感染予防については習慣化されている人が多いと思います。心が苦しいほど神経質になる必要はないので、治療が始まる前からマスク着用と手洗い、アルコール消毒の実施を習慣化して、治療開始後も続けられるように準備していただけたらと思います。

治療が始まってからは、お刺身を食べるときはなるべく新鮮なものにするとか、皮が無い野菜や果物はよく洗ってから使う、といったことも、胃腸炎予防に大切です。調理器具は清潔なものを使うとよいと思います。

どのくらい免疫力が落ちるのか、どの程度気を付けるのか、ということは人それぞれ違います。採血結果が出たときになど、主治医や看護師に相談できるといいなぁと思います。

④治療する環境を整える

がんの薬物療法を続けていく上で私が特に大切だと思うのは、自分の周りの環境を、ある程度整えておくことだと思います。

がんの薬物療法の治療中は、支持療法(副作用の苦痛は和らげる薬や治療)を十分に行っても、なんだか嘔気が残るとか、倦怠感で元気がない状態などになりやすいです。

吐き気や怠さがあっても、見た目からはわからず、頑張って家事などこなしてしまうことで家族は「意外に大丈夫なのかな・・・?」と思ってしまうことがあると思います。(私もそうでした・・・。)

一緒に住んでいる家族がいたら、がんの薬物治療で体調が悪くなること、いつも通りに元気に家事をしたりするのは難しいこと、機嫌よくできなかったり、気遣いができないかもしれないことを伝えてほしいと思います。

治療を続ける中で、副作用出現のパターンが把握できたら(治療してすぐは吐き気が強いな、とか)その変化も家族に伝えて、サポートに活用してもらえたらと思います。

がん患者さんのご家族の方は、手助けできるときはもちろん患者さんの手助けをしてほしいと思うのですが、

がん患者さんの家族も心が不安定だったり、自分のことで精一杯で手助けをする余裕がないことがあると思います(私もそうでした)。

家族の方も、自分自身も辛く感じていること、余裕がないことをがん患者さんに伝えて、減らせる家事は減らす(惣菜とかね)、やらなくてもいいことは思い切ってやらないと、決めてしまうのもいいと思います。

お一人で住まれている方は、家事代行について調べておいたり、元気な時に掃除しておいたりするのも、いいじゃないかなと思います。

できないことは無理せず!でいいんです、体調が良いときや、心に余裕ができたときにやればいいんだと思います。

家族の誰かががんになったときは、家族全体がダメージを受けています。

だからこそ、お互いが自分の状況や気持ちを、伝えあえるといいなと思います。

お仕事をされている方も、もし話せるのであれば、体調不良があること、普段通りできないことがあることを、誰か一人でも、職場の人に伝えられたらすてきだなと思います。

⑤支持療法の薬にしっかり頼ろう

がんの薬物治療の副作用には様々なものがあります。

吐き気や下痢、味覚障害、しびれや皮膚炎、倦怠感・・・薬によってどんな副作用が出るか違いますし、程度も個人差があります。

お母さんはTS-1の副作用で吐き気があり「吐くものか これは高価な薬なり」と頑張っていましたが、

そもそも吐き気が出やすい時期は吐き気止めをしっかり使って、辛くないように過ごした方がいいんです。

副作用をひたすら我慢していると、治療自体が憂鬱になってきて、治療に前向きに取り組むことができなくなっていきます。

「次も辛い吐き気がが起きるかも・・・。」と思うと、薬物治療をする前から、なんだか気持ちが悪くなってくる、という人もいます。

また上手に副作用がコントロールできない状態が続くと、治療自体を継続できない恐れもあります。

お母さんが治療をしていた10年以上前とは違って、様々な副作用を軽減する薬の開発が進んだり、使い方のエビデンスが蓄積されてきました。

抗がん剤以外の薬物を体に入れることに抵抗がある方もいるかもしれませんが、既にもう強い薬を使っているのだから、支持療法薬もしっかり使っていいんだよ~という風に私は思います。

治療を始める前に、どんな副作用が出る可能性があるのか把握して(主治医や看護師に確認する)、しっかり支持療法が使えるよう備えておくのが大切だと思います。

どんな副作用が出たか、できれば日記などの記録に残しておいて、診察の時には主治医や看護師に伝えることが大切です。状況にあった支持療法薬を処方してもらって、できるだけ楽に治療を続けていってほしいと思います。

⑥使える制度を確認しておく

がんの薬物療法が始まると体調が崩れやすくなります。

しんどい中でがん保険の申請をしたり、高額療養費制度や限度額認定証の取得のために会社の総務課や区役所に行ったりするのは、けっこう大変じゃないかな・・・と思います。

病院の文書窓口も並んでいることが多いですから(^^;)

がんの薬物療法が始まるとわかったら、自分の使える制度や保険を確認して、あらかじめ申請などを行っておくのがいいのかなぁと思います。

もちろん心がついていかないこともあると思うので、その時は無理せずに!と思います。さかのぼって申請できたり、高額療養費制度はあとからお金が返ってくるように申請をすることもできます。

がんの薬物療法を行っている病院では、「がん相談支援センター」などが併設されていて、制度について相談することも可能です。

使える制度や人・モノに頼って、できるだけ身軽に治療が進められるといいなぁと思います。

おわりに・・・

こうやって書いていくと、結局は「無理せず人や物に頼ろう、その準備をしよう」っていうことなのかな、と思います。

がんの薬物療法は長丁場です。

しんどい中でもできるだけ楽に、機嫌よい時間が少しでも長くなるように、治療前に準備ができたらいいのかなと思います。

がん患者の家族としても、何かしてあげたいんだけど、何をしたらいいのか・・・と思うことも多いです。

お互いに状況を伝えあって、一緒に過ごす時間を少しでもいい時間にしてほしいと思います(^^)

お読み下さってありがとうございました。美咲でした♪

参考

がん情報サービス「治療にあたって」https://ganjoho.jp/public/dia_tre/dia_tre_diagnosis/index.html

がん治療新時代web「がん治療を受ける前には、歯の治療が欠かせない?その理由とは。」
https://gan-mag.com/knowledge/3619.html

がんサポート「皮膚症状はとにかくスキンケア!」https://gansupport.jp/article/measure/measure01/7363.html

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